田舎育ちの私は、干し柿を見る度に子供の頃を思いだします。干し柿つくりは田舎の冬の景色の1つです。農家では、むいた皮をむしろで干して、軒先には干し柿をぶら下げていました。皮は何に使われていたのかは知りませんが、多分漬物に使われていたのだろうと推定しています。今年、知人がSNSで干し柿つくりをアップしていましたので私もやってみることにしました。

渋柿が八百屋で売られていたので早速購入して、吊るし柿をつくりました。干し柿つくりは、皮をむく →紐につるす →消毒 →風通しの良い場所でつるす →時々もむ →乾燥させるの手順で完成します。WEBで検索すると、消毒には熱湯消毒あるいはアルコール噴霧が良いとの情報を得ました。今回は熱湯消毒を採用しました。干し柿つくりは、今回、2回行いました。1回目は大き目な柿でした。2回目は1回目から10日程後に、1回目より一回り小ぶりな柿でつくりました。

干し柿

柿を吊るした後、1-2週間は順調でしたが、1回目の柿にはヘタの下方に青いカビが発生しました。更に1週間ほど放置しておくと、写真の様に白いカビが拡がっていました。2回目の柿の表面は部分的に黒い箇所が発生しました。1回目は表面の色が全体的に少しずつ濃くなって黒くなったのですが、2回目はまだら模様状です。

実体顕微鏡を使って変色した部分を拡大して観察しました。その結果、白い斑点は錦糸状に見えるので白カビと判定しました。黒い部分は蜜ろうの様なつやがあります。

今回の失敗を今後に生かすために、今回の問題点をWEBで調べてみました:
【干し柿表面の黒化】
柿渋のタンニン(渋み成分、フェノール化合物)が酸化して黒くなるとのこと。太陽光に当たると酸化が加速するので日陰に干すのが良いとのこと。2回目の吊るし柿は北側のポーチに干したので太陽光は当たってない筈ですが表面の黒化が起きました(原因は不明)。

【干し柿のカビ】
カビが発生するのは湿度や風晒しの条件が良くなかったためと推定しています。千葉県北部は11月下旬から気温が急激に低下しましたが、季節外れの雨や温かい日もありました。干し柿は気温が低い日が継続する時期(言い換えるの乾燥時期)につくり、軒下などの日陰で風通しの良い場所に干すのが鉄則です。小さな柿の方が乾燥期間が短縮されるので失敗し難いとの情報もありました。しかし、干し柿つくりは天候に左右されるので、雨などで湿度が上がる時などは、アルコールの噴霧を追加してカビの発生を予防すべきなのかも知れません。あるいは、天候に左右されない、ドライフルーツをつくる乾燥機を使って柿チップなどにする方が良いのではと考えています。

【柿渋の用途】
柿渋防虫、防腐、防水などの効果があり、1000年以上前から活用されていたようです。塗料や染料として、和傘、和紙、漁網、漆の下塗りなどに使われている。また、清酒や味醂の清澄剤としても活用されています。