今回は世界3大運河の内、「スエズ運河」と「パナマ運河」の2つを渡るです。地球を一周するには東回り(時刻が進む)と西回り(時刻が遅れる)がありますが、ここでの説明は、西回りでご説明致します。

スエズ運河を渡る

スエズ運河を渡るには、インド洋の北方のイエメンとソマリアに囲まれたアデル湾、約30km幅のバブ・エル・マンデブ海峡を経て、紅海に入る必要があります。アデル湾には海賊がしばしば出没しています。船舶側では、夜は照明を遮蔽して航行、海賊が船に登れない様に防御壁の設置、万が一用に放水銃を準備しています。また、アデル湾を通過する際は、複数の船舶(客船、コンテナ船、タンカーなど)がコンボイ編隊(一定の間隔を空けて一列に整列)を組み、自衛隊の護衛艦にエスコートされ進みます。

※写真からではどんな兵器を搭載しているか不明です。自衛隊の情報によると、「はるさめ」の主要兵装は、高性能20ミリ機関砲×2、62口径76ミリ速射砲×1、VLS装置一式、3連装短魚雷発射管×2、SSM装置一式、哨戒ヘリコプター×1となっています。

狭いバブ・エル・マンデブ海峡を経て紅海に入ります。紅海を北上して、スエズ運河に入る。スエズの街を通過すると砂漠の景色が左右に見えるだけの状態がしばらく続きます。途中、日本-エジプト友好橋(旧ムバラク大橋)の下を通ります。スエズ運河は、現在、複線化され、上りと下りの二車線航行が可能となっています。更に北へ進み、地中海側のポートサイドに出ます。
※紅海と言っても海の色は、普通の海と同じで、茶色や紅色ではありません。

日本-エジプト友好橋を通過

パナマ運河を渡る

西回りルートでは、パナマ運河は、大西洋側から太平洋に抜けるコースとなります。パナマ運河の大半はガトゥン湖などの人造の水を貯めた水路になります。この人造の水路は海抜約26mの高さとなっています。両大洋の水位は海抜0mですので、ガトゥン湖などの人造水路を通るには、船舶を海抜26mの高さまで持ち上げる/持ち下げる必要があります。このため、船舶を巨大なプールに入れ、水を足したり、抜いたりして、水の浮力で船舶を上下させます。詳しメカニズムは別の記事「地球温暖化の影響か? パナマ運河も水不足」をご参照下さい。

大西洋側のコロンの港

パナマ運河も往路と復路のある2車線となっています。3段のプールを使って26mの高さを乗り越えます。運河通過の動画を3本を準備しましたのでご覧ください。

水を満たして前進     水を満たして前方のプールと水位を一致させた後、船舶を前に進める様子
             後方のプールに次の船舶が入ってくる様子も見れます
https://youtu.be/jK0S_Xdk8-E

船を曳く・押す電車    電車で船舶を移動させる様子(船舶の動力は使用しない)
https://youtu.be/Sxqao1FhXQI

閘門が締まる様子     反対車線の後方を撮影
https://youtu.be/t3lBgMRPByk

端を通過

アクアクララ閘門の全景のビデオ映像です。映像の左側がガトゥン湖で右端が大西洋となります。
こちらは大型船用に作られた新閘門です。閘門は従来の観音開き式からスライド式へと変更になっています。旧閘門では電車で船舶を曳いていましたが、新閘門ではタグボートが使われていると聞きました。また、水の再利用のための水を貯めるプールも設置されています。現在、1車線しかありません。Neopanamax対応の船舶は少なく、稼働率は低そうです。
https://youtu.be/Dh_1Nq0Kd2w