マイナンバーカードを巡るDXについて

まとめ
◇「マイナンバーカード」は取得しなくとも、現時点では、困ることはない
◇「マイナンバーカード」で使えるサービスはマイナポイント申請、e-Tax(確定申告書)など
◇地方自治体の定期健康診断の申請など期待外れのサービスもあるが将来に期待したい

個人番号通知書は送られてきて久しいのですが、「マイナンバーカード」が無くても不便もメリットも感じなかったので今までカードの申請はしていませんでした。新型コロナ禍の今回、「マイナンバーカード」を新規取得して、同カードを巡るDX(デジタル・トランスフォーメーション)について私の体験を述べます。

「マイナンバーカード」

マイナンバーカード」は、海外の社会保障番号あるいはソーシャルセキュリティー・ナンバー(Social Security number)と言われているものに相当します。2002年に地方自治体が主体の制度「住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)」が準備されましたが、総すかんの上、中止となったいわくのある制度です。衣替えした「マイナンバーカード」は、国が推進し、2016年1月に交付が開始された国民背番号制ですが国民に深く浸透していません。総務省 参考1)によると、マイナンバーカードの交付枚数は、2018年07月01日時点で14,672,462枚、人口に対する交付枚数率11.5%とのことです。

マイナンバーカードのイメージ図 出典:総務省資料

2020年の秋季にマイナポイント制度が始まったのでこの機会にカードを取得し、幾つかのサービスを利用してみました。次の手順でカードを取得した後、①~③のサービスに利用しました。私のスマホはNFC対応(モバイルSuicaなど)でないので、PCとUSB接続の非接触ICカードリーダー(マイナンバーカード対応)を組み合わせたシステムを使用しました。

Go To トラベル、イートは新型コロナウイルスを広める施策と懸念し、私は、個人的にはスルーしました。残念ですが、最近、専門家からGo To 施策が感染を広げた可能性が指摘 参考2、3、4)されているので利用しなくて良かったと思っています。

【マイナンバーカードの取得と利用のプロセス】

スマホにてマイナンバーカードを申請

役所の手続きが約1月後に済み、役所でカードの受取

①マイナポイントを申請

②短期人間ドック(国民健康保険の定期健康診断)を申請

③e-Tax(確定申告書)

所得税の確定申告(e-Tax)

確定申告をインターネット経由で行うのがe-Tax(国税電子申告・納税システム)です。国税庁 参考5)によると、e-Taxで確定申告された件数(e-Tax 利用件数)が占める割合は全体の59.9%(2020年8月)だったとのことです。確定申告した人の総数は 2,204 万人、うち、⾃宅等から e-Tax で申告書した人は、630 万 2 千人。630万の人のうち、国税庁 HP の確定申告書等作成コーナーを利⽤して申告書を提出した人は 195 万人だった。

e-Taxの状況も変わってきています。資本金が1億円を超える3万社に対しては、2020年4月以降に始まる事業年度から、法人税などの電子申告が義務化されました。マイナンバーカードを利用することで、税務署を訪問して利用者識別番号を事前に取得する手続き(e-Tax開始届け出)が2019年からが不要となった。個人の確定申告では、電子申告によると、特別控除額が最大65万円に拡大するメリットが与えられている。

私は、長ーい間、国税庁 HP の確定申告書等作成コーナーを利⽤して申告書を作成した後、印刷したものを税務署に郵送あるいは持参していました。税務署を訪問したり、職員の様子を観察するのが好きなのでそのようにしていました。新型コロナ禍なので、今回はe-Taxを使い、インターネットで完結する、つまり、書類の持参や郵送なしを目標としました

確定申告書等作成コーナーを利⽤して申告書を作成する経験が活きて、確定申告書等作成と税務署への送信はスムーズにできました。従来要求されていいた多くの証明書はe-Taxでは送付不要扱いとされていて助かります。しかし、外国所得に関しする証明する書類や課税の明細の郵送が求められました。調べて見ると書類の郵送はpdfファイルの転送で代用できることが分かり問題は解決しました。e-Tax申請で少し戸惑ったことを箇条書きししておきます。

PCとIC読み取りカードカード

〇「確定申告書作成コーナー」と「WEBから作成」の2種類の申請方法があり、手続きが異なる
 ・前者の途中のファイルの拡張子は.dataとなっている。申告書を送信し終えてから添付書類を追加する方式
 ・「WEBから作成」の途中ファイルの拡張子は.xtxとなっていて、.dataファイルとは互換性がない 

〇pdfファイルの添付
 ・「確定申告書作成コーナー」の場合、送信後に「WEBから作成」方法でメッセージボックスにアクセスしてpdfファイルを送信する
 ・pdfファイルを指定して、添付をクリックすると前の画面に戻るのが戸惑うが、「次に」で次ページに進めて送信することになる

将来、年金、社会保障費、保険、金融取引などのデータを自動収集して申告書に取り込める構想の様だが現時点では連系できる先は限られている。と言うよりは、連系はほとんど使えない状態です(つまり、自分でデータを入力する)。100%連携ができる様になると、それはそれで恐怖も感じますが、、、

e-Taxで確定申告書を送付して数日経過したところ、添付のメールが税務署より送信されてきたので還付税の振り込みの連絡かと期待した。マイナンバーカードで再認証し、メッセージボックスを開くと送金先の金融機関を調査中との連絡で少しがっかりしました。

税務署からのお知らせメール

追伸:
紙ベースの確定申告書の提出は2月16日開始となっていますが、e-Taxで行うと申告書の提出還付金の支払いこれより前に完了することができます。また、申告から還付までの日数も少し短縮されている様に思えます。ご参考までに今回の確定申告にかかわる日程を示します。

 e-Taxでの確定申告                 1月27日
 税務署からのお知らせ 送金先の金融機関を調査中  2月03日
 税務署からのお知らせ 還付金の金額と支払日の連絡 2月10日
 還付金の支払い                  2月15日(予定)

短期人間ドック電子申請サービス

国が提供する「ぴったりサービス」で様々な申請や届出をオンライン上で行うことができるようになっています。このサービスはマイナンバーカードの利用を推進するために国がつくった、地方自治体向けの一括サービスと思われます。政府のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する要のシステムと推定されます。

私は、健保を昨年から国民健康保険に切り替えていますので、「ぴったりサービス」で「短期人間ドック」の申請をしました。その結果、このシステムは大幅な改善が必要との結論に至りました管理元の政府機関(総務省??)や地方行政の関係者もご自身で同システムを使ってみて、どのようなレベルのサービスを納税者へ提供しているかを調べることをお薦め致します

改善が必要な点
・マイナンバーカードで個人情報を吸い上げるも、更に追加で名前や住所などの入力が必要
・生年月日の入力が分かり難い
 3行の入力スペースがあるも、年月日の順か日月年の順か不明、更に、和暦や西暦の表示なし 
 →入力後の確認の画面まで兎に角進むしかない状態
・重要な要件はweb上で判定されるべき
 苦労してやっと申請が終了したものの、数日後、担当者から電話であなたは国民健康保険加入
 から1年未満なので申請は受け付けられないとの連絡。また、担当者はぴったりサービスを
 使ったことが無いとの返事

参考資料
参考1)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000538604.pdf

参考2)
https://news.yahoo.co.jp/articles/be04e93383f2cf5f0d906f9248f28ef91931f6cb

参考3)
https://news.yahoo.co.jp/articles/90b65a7d6cae2f48baf17fb2c7baf9ef85e6829a

参考4)
https://news.yahoo.co.jp/articles/29c1d5887a1d1fe1433ea53d338183dfc69d5e8a

参考5)
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2020/kakushin_jokyo/pdf/0020006-081.pdf