集合住宅の共用部の省エネ

まとめ
◇集合住宅の共用部の省エネも取り組む価値がある
◇実態を掴むには、使用代金(円)だけではなく使用量(kWh)をモニターするのが好ましい

今回のテーマは共用部の省エネ化です。共用部の電力消費量は、一戸当たり、我が家の消費電力の15%にもなっていて、予想より多かったです。したがって、共用部の省エネへの取り組みもやりがいがあるテーマと考えます。

集合住宅の照明のLED化

私が住む集合住宅の全電気使用量の約40%が照明に使われていると推定されます。この共同住宅はLEDの普及が本格化する直前に造られたために、従来型の白熱電球や蛍光灯が使われていました。そこで管理組合は省エネ化のためにLED化を推進しています。三段階のステップでLED化を行いました。第一ステップは、もっともハードルが低く、効果の大きな白熱電球をLEDに交換しました。第二ステップは、防犯のために一部の照明を24時間点灯にするのに伴い、電力消費量を抑えるために、LED化しました。この時は蛍光灯も一部含まれていました。第三ステップは、残る照明(蛍光灯を全てLED化する工事をしています。第一~第三ステップのLED化の累積資額は一戸あたり約2.1万円となりました。投資コストは約4.5年で回収できると試算しています。したがって、照明のLED化は省エネ化と共に電気料金のコスト削減にも役立ちます。

集合住宅で使用されている従来型の照明の場所、種類およびLED化の対応を表にしました。照明のLED化は、効果の大きな所を優先し、投資額の制約を考慮して段階的に実行されると良いと思います。

設置場所種類対応
ロビーなど共用施設の天井白熱電球LED電球と交換
エレベータホール、通路天井コンパクト蛍光灯放熱対応のLEDダウンライト機器と交換
各戸玄関前の天井丸型蛍光灯安定器結線とグロースターター撤去後に丸形LEDと交換
集合住宅の共用部照明の種類

蛍光灯のLED化

白熱電球はLED電球に交換するだけなので容易ですが、蛍光灯は少し手間です。照明器具ごとまるまる交換するのと既存の照明機器を使用しながら電球を交換する2つの方法があります。前者は照明機器が古くて交換時期になっているあるいは放熱の問題があり止む無く機器ごと交換する場合です。

玄関前の天井の丸形蛍光灯の例を示します。未だ10年以上使用が可能な見込なので、既存の機器を使用しながら電球のみを交換しました。LED化するためには、蛍光灯の安定器グローターターの撤去が必要です。LED電球に取り付けるコネクター※も新しいものに更新しました。
※蛍光灯から出る紫外線でプラスチックは劣化して脆くなります

↑丸形蛍光灯のLED化の手順を示す写真です。カバーを取り外した状態の写真の上部の四角の部分が安定器および下部の丸い穴がグロースターターの取り付けソケットです。両者はLEDに伴い不要となります。
注意:安定器の取り外し工事などは電気工事士の資格所有者でなければ出来ません。

天井埋め込み照明の一部はコンパクト蛍光灯が使われていました。この天井灯は熱が籠るので、LED電球には使えなく、止む無く照明器具ごと交換しました。まだまだ使える蛍光灯式照明機器ですが、そっくり放熱性の良いLED照明機器に交換しました。

効果の検証

省エネ化を実施した場合は効果の検証が必要です。電力使用量の推移(下図)から、2017年まで電力使用量は低下の傾向が見られました。2014年~2015年の夏季の低温や2015年の省エネ施策(LED化と浴場施設削減)効果が効いている様に見えます。しかし、2018年から電気使用量が急増している。この急増の原因を調査したいのですが、我々の集合住宅では、電気の管理は、代金のみで、電灯と動力の区分電気使用量(kWh)の集計が行われていない。したがって、2018年からの電力の上昇の原因を追究出来ない状態です。2018年から夏季の気温が上昇も効いているとは思われます。そこで一戸当たりの共用部の電気代金÷我が家の電気代金も図示(図中の共用部割合)して見た。これによると、気温の効果を除いても、共用部の電気代が増加する傾向であることが分かり、電気の使用の管理や使用法の改善の余地があると推察されました

電気使用量の推移

↑共用部の電気使用量の年次推移を示しています。年度は該当年の4月から翌年の3月までの期間を示す。「共用部電力消費量」は一戸当たりの電気使用量の月平均です。これは実際の電気使用量ではなく、電力代金÷平均の電気単価(\/kWh)で計算した値です。「共用部電力消費量」のグラフ上の矢印(太↓)はLED化を実施した時期を示している。なお、2015年には、LED化と共に浴場施設を2つから1つに減らす省エネも実施している。冷暖房の電気使用量は気温に依存すると考えられるので月平均温度の最低と最大も示している。「共用部割合」は我が家の電気代金に対する一戸当たりの共用部の電気代金の割合(%)を示している。