まとめ
◇煮干し(カタクチイワシ)のマイクロプラスチック汚染を調査した。結果として、今回は汚染の確証は得られなかった
◇製造工程中に煮干しの蛋白質が変性したためか、消化器官(はらわた)は水酸化ナトリウム液では十分には溶解できなかった
日本の近海の魚はマイクロプラスチックで汚染されているとの報告 資料1)があります。私も自分自身で確かめることにした。住居が海から離れていることから、煮干しを試料として使うことを思いつきました。
試験試料
市販品の煮干しのパックを購入した。大きめのカタクチイワシ数十匹がパックされている。その内臓部を取り出し調べることにした。
ランダムに10匹のいりこを選んだ。体長は何れも10cm程度であった。その内臓(はらわた)を取り出し試料とした。
試料の処理
はらわたを溶解させてマイクロプラスチックを取り出すことを検討した。先ず、水に浸漬させて様子を見た。薄黄色い出汁が出てくる。内臓は膨らみ柔らかくはなるが、細胞は溶解しなかった。
魚の胃腸をアルカリ液に浸漬すると、比重の差からマイクロプラスチックが浮き上がってくるとの情報 文献2)を得た。そこで水酸化ナトリウムで細胞の溶解を試みた。使用した薬品は排水パイプ用洗浄剤である。水酸化ナトリウム(濃度2%)に界面活性剤まで添加された理想的な細胞溶解液と考えられた。しかし、いりこのはらわたは少ししか溶解しなかった。胃はゴムの様な状態であった。そこで、はらわたをすり鉢で擦り細かくしてみたが、溶解が大幅に改善されることはなかった。
考察
生きた細胞は容易に溶解するようだ。一方、今回は、細胞の融解は困難だったのでその原因を考えてみた。細胞が高熱、塩などと作用/反応して蛋白質の変性が起こると溶解し難くなることが分かった。魚の練り物(竹輪、ハンペン、蒲鉾など)は煮崩れしないのが例証と考えられる。
今回の試みは失敗に終わったが、良いアイデアが思いついたら再度チャレンジしたいと思います。
参考文献
資料1)
https://www.asahi.com/articles/ASKBS663GKBSPLBJ007.html
資料2)
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/227278/060700125/