人間である限り、誰にも、何れ終末はやって来ます。年齢には関係ありません。ただ、若い程、時間軸が統計的に先になっているだけです。今回は、積極的な意味で、終末の準備をすることをテーマとします。

注意本文の情報の誤りなどが原因で、読者に損失や不利益などが生じても、筆者は責任を一切負いません。読者の自身の判断と責任で対応して下さいますようお願い致します。

亡くなったときの手続き

 人が亡くなると種々の役所の手続が必要となります。市・区役所のホームページなどに情報が提供されていますので参考にして下さい。死亡届など7日以内保険や年金など14日以内など決められた期間内の手続きが必要です。代表的なものを一覧にしました。

カテゴリー項目期限
死亡届● 死亡診断書、死亡届の提出
● 埋葬・火葬許可申請書の提出
● 葬祭費(後期高齢者医療)・埋葬料の給付金手続き
● 住民異動届(世帯主の変更)(14日以内)
7日以内
保険関連● 健康保険の資格喪失届出(保険証の返却)の手続き
● 介護保険の資格喪失届
14日以内
年金関連● 国民年金・厚生年金の資格喪失届出
● 未支給年金の請求
14日以内
相続関連 ● 戸籍謄本・除籍謄本・住民票・印鑑証明書の入手
必要な手続き(短期)

泉岳寺のお墓

遺言の残し方

 遺言を残す理由は、相続争いを避ける、引き継いでもらいたいものを特定の相続人に渡す、分割が難しものを特定の人に継がせる/残すなどが考えられます。遺言を残す方法には、下表のように「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類  資料1) があるようです。 一般の人には、自分で「自筆証書遺言」を作成し、2020年7月10日に始まった遺言書を法務局に預ける「自筆証書遺言保管制度」 資料2)が良いのではないかと考えています。預ける費用は3,900円と格安です。さらに、この場合は、保管される際に、自筆証書遺言の要件 資料3)が満たされていることが確認されるので、家裁の 検認が不要となるメリットもあります。 

種類概要備考
自筆証書遺言本文、日付および氏名を、本人が、自筆で書いて作成する無料で簡単に作成可能ですが、記述内容の不備や形式の間違で無効になる可能性も。家庭裁判所の検認が必要
公正証書遺言公証人役場に出向き、公証人に作成してもらう有償だが一番確実。家庭裁判所の検認も不要
秘密証書遺言自分で作成する。公証人には内容を開示しないで、密封する 遺言書であることの証明はされる。 記述内容の不備や形式の間違で 無効になる可能性も
遺言書の種類

 法務省のホームページに「自筆証書遺言保管制度」の説明 資料2)や「民法で定められた自筆証書遺言の要件」として遺言書の作成要件 資料3)が示されています。それにしたがって、「自筆証書遺言」書を作成すれば間違いも避けられ良いと思います。「自筆証書遺言保管制度」を利用するためのポイントを抜粋しました。

自筆証書遺言書の作成と保管制度を利用するための要件など  資料3) :
民法で定められた自筆証書遺言の要件
①遺言書の全文、遺言の作成日付および遺言者氏名を、遺言者が必ず自書し、押印する
②財産目録は、自書でなく、パソコンを利用したり、不動産(土地・建物)の登記事項証明書や通帳のコピー等の資料を添付する方法で作成することが可能だが、その場合は、その目録の全てのページに署名押印が必要です
③書き間違った場合の訂正や、内容を書き足したいときの追加は、その場所が分かるように示した上で、訂正又は追加した旨を付記して署名し、訂正又は追加した箇所に押印する

保管制度の様式等
①用紙はA4サイズで、罫線を除き、模様等がないものを使用する
 更に、最低限、上部5mm、下部10mm、左20mm、右5mmの余白をそれぞれ必ず確保する
②片面のみに記載する。財産目録も同様
③余白内に各ページにページ番号を記載する。例)1/3、2/3、3/3(分母は総ページ数)
④複数ページある場合でも、 スキャナで遺言書を読み取るため、ホチキス等で綴じない

遺言書の記載上の留意事項
①ボールペンや万年筆など、長期間保存に耐える、消えにくい筆記具を使用する
②遺言者の氏名は、戸籍どおりの氏名を記載する

遺言書の例

 遺言書を書くにはひな形があると便利ですね。遺言書の文例 資料4)~6)には、財産目録付言などの項目もありますが、必ずしも必須ではない様です。例えば、1人に全財産を相続させさせる場合などはもっと簡単にできます。遺言書の作り方を参考にして、妻に全財産を相続させる場合の例を作成してみました。ただし、遺言書とは切り離しても、後々の財産の確定に際しては、財産目録を残して置く方が残された方に手間が掛からないと思います。認知症への対応策にもなります。

妻に全財産を相続させる遺言書の例

遺言書
遺言者 △△△△は、次の通り遺言する。
1. 全財産を妻 ◇◇◇◇(平成○○年〇〇月○○日生れ)に相続させる。
2. 遺言執行者として、妻 ◇◇◇◇を指定する。

令和3年9月9日
東京都千代田区 〇〇町〇〇丁目○○番○○号
    遺言者  △△△△   (印)

相続

 相続人になったとしても、必ずしも相続する必要はありません。債務額が相続額より多い場合や債務額が不明な場合は、特に注意が必要です。その様な場合には、相続放棄(財産・債務を一切受け継がない)や限定承認(相続した財産を限度に債務を受け継ぐ)手続きをしますが、3ヶ月以内が期限となっています。

相続と相続税の計算 資料7) 資料8) の手順は次の様になっています。
1.「正味の遺産額」:相続財産の総額から非課税財産や控除費用・控除額などを差し引く
「控除」
 債務や葬式費用などは相続財産から差し引くことが出来ます。
「生命保険の課税価格」 資料8)
  相続税の対象となる生命保険は、契約者(保険料の支払人)と被保険者が同一である場合の時です。課税の対象となる金額は次のように計算されます。
 生命保険の課税価格=保険金の額 ー 500万円×法定相続人の数

2.「相続税の総額の計算」
3.「 各人ごとの相続税額の計算」
注意:上記2.および3.項についての詳しい情報は国税庁のHPから入手可能です

税金に関する控除・特例
「基礎控除」
 相続遺産の総額から次の基礎控除が受けられます。相続遺産の総額が、この非課税の枠を超える場合には、相続税の納税が生じる可能性があります。被相続人がお亡くなりになってから10カ月以内の申告を行う必要があります。
 基礎控除額=3000万円 +(法定相続人の数×600万円)

「配偶者の特例」資料10)
 配偶者には相続の優遇処置があります。具体的には次の式により計算される税額の軽減が適用できます。
税額軽減額=相続税の総額×(①または②のいずれか大きい方の金額/課税価格の合計額)
①課税価格の合計額×配偶者の法定相続分
②1億6000万円

言い換えると、配偶者は、法定相続分までの財産を相続する、あるいは、法定相続分を超えても相続する額が1億6000万円以下であれば、相続税がかからないことになります。ただし、課税されなくても申告は必要となるのがポイントです

 実際の相続税の試算額は計算サイトで計算できますので 資料9)ご利用されると良いと思います。正味の遺産総額( 課税価格合計 )、配偶者の有無、配偶者以外の法定相続人、相続の割合などの項目を入力すると各自の相続税が計算されます。

相続の手続きは、下表の相続のタイムスケジュールにしたがって行います。

項目期限
● 相続人の確定(戸籍の収集)
● 遺言書の検認・開封
●相続放棄・限定承認の申立 3ヶ月以内
●所得税の準確定申告†4ヶ月以内
●遺産分割協議書の作成
●不動産などの名義変更登記
●相続税の申告 10ヶ月 以内
相続のタイムスケジュール

†:相続人が、被相続人(亡くなった方)の代わりに、 被相続人の所得を申告すること

宅地や建物の評価方法

 相続財で面倒なのは不動産の評価と思われます。住居の評価価格 資料11)~13)は、建屋部分と土地部分を独立に評価して合算します。ここでは評価方法の概要のみを示しておきます。

「建物部分の評価額」
 誰が利用していたのかで異なりますが、被相続人が利用していた場合は、【固定資産税評価額×1.0】となります。

「 土地部分の評価額 」
 路線価が利用できる場合は、 【戸建て:路線価/m2×土地面積m2】 、【集合住宅:路線価/m2×マンション全体の面積m2×自分の持ち分割合】となります。 被相続人(亡くなった人)と一緒に住んでいた宅地等については、一定の要件を満たせば、評価額が最大80%軽減されるという特例措置もあります。

参考資料

資料1)遺言の種類
https://isansouzoku-guide.jp/kouseishoushoigon-hiyou

資料2) 自筆証書遺言保管制度
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

資料3) 遺言書の様式等についての注意事項
https://www.moj.go.jp/MINJI/03.html

資料4) 遺言書の文例集
https://yuigon-sakusei.com/bunrei/

資料5) 自筆証書遺言のひな形テンプレート
https://agoora.co.jp/souzoku/testament/autograph-suicidenote.html

資料6) 自筆証書遺言の書き方マニュアル~遺言書の例文ひな形と準備・作成のポイント
https://www.souzokuhiroba.com/testament/autograph-suicidenote.html

資料7)相続税の総額の計算
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm

資料8)生命保険の死亡保険金にかかる相続税の計算方法
https://e-hoken-sozoku.com/inheritance/calculation/#lwptoc7

資料9)正味の遺産額
https://keisan.casio.jp/exec/system/1385687786

資料10)配偶者の税額の軽減時の申告
https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/souzokuzei/noneedinheritancetax/#2

資料11) 土地・家屋の評価額
https://e-hoken-sozoku.com/inheritance/property/#lwptoc25

資料12) 宅地評価
https://www.i-sozoku.com/navi/sozokuzei-rosenka/#i-2
https://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm

資料13) マンション相続評価
https://sumai-step.com/column/article/5890/